【徹底解説】ドローン国家資格取得までの流れをプロパイロットが徹底解説!
2025年2月7日
2025年2月7日
ドローン技術の急速な進化と共に、その用途もまた多岐にわたり、農業、建築、映像制作、災害対策など、様々な分野での活用が進んでいます。こうした背景のもと、日本では2022年12月5日からドローンのパイロットとしての知識と技術を認定する「ドローン国家資格」の制度が始まりました。
しかし、ドローン国家資格の取得手続きや試験内容は複雑であり、多くの人にとって理解が難しいものとされています。そこで今回は、実際にドローンを操縦しているプロパイロットが、国家資格取得までの具体的な流れをわかりやすく解説します。
ドローンの国家資格(無人航空機操縦者技能証明制度)には、以下の2つの区分が存在します。この2つの資格の主な違いは、「第三者の上空で飛行できるかどうか(=有人地帯での立入管理措置の有無)」にあります。
これらの資格には細かい違いがあり、例えば「立入禁止措置をしているか、していないか」などの詳細な条件がありますが、基本的には一等資格を持っていないとレベル4の飛行ができないという点が大きな特徴です。レベル4の飛行とは、有人地帯での補助者なしの目視外飛行を指します。
ただし、このレベル4の飛行が、現在多くのドローン操縦士が行っている飛行に必要かというと、そうではありません。一般的に、一等資格が必要となるのは、企業が物流業務に従事する場合など、特定の業務に限られます。そのため、従来通りの飛行や一般的な業務であれば、二等無人航空機操縦士の資格で十分対応可能です。
飛行レベル | 詳細 | 該当資格 |
---|---|---|
レベル4
有人地帯で
目視外飛行 |
![]() 例:ドローンを使った物流事業など
|
国家資格
一等無人航空機操縦士のみ
(飛行申請必要)
|
レベル3
無人地帯で
目視外飛行 |
![]() 例:ドローンのカメラ映像を見ながら空撮
|
国家資格
二等無人航空機操縦士
(飛行申請不要※)
・
民間資格
(飛行申請必要)
|
レベル2
目視内で
自動/自律飛行 |
![]() 例:事前にプログラムを組み、ドローンで農薬散布
|
|
レベル1
目視内で
操縦飛行 |
![]() 例:ドローンを目視しつつ空撮
|
飛行申請は飛行場所や方法によって異なります。詳細は「国土省 無人航空機の飛行許可・承認手続」をご確認ください。
ドローンの国家資格を取得するためには「実地試験」と「学科試験」の2つの試験に合格する必要があります。
一見すると自動車免許と教習所関係に似た仕組みですが、実地試験に合格することは非常に難易度が高いです。たとえ実技項目をこなせる技術があったとしても、「確認項目」と呼ばれる細かいチェックポイントが多く存在します。これらを間違えると減点の対象となるため、技術力があっても対応が難しい場合があります。
これからドローンを始めて国家資格を取得しようと考えている方や、すでにドローンを扱っていて資格取得を目指している方もいると思いますが、一発試験に挑むよりも、試験内容をしっかり把握した上で受験する方が安全です。
ドローンスクールで講習を受け、その後同じスクールで受けられる実地修了審査を合格することで、実地試験が免除さる仕組みとなっているため、試験内容をしっかり把握する上では非常に有効だといえます。
ドローンスクールで受講する場合、受講時間が定められています。以下は資格ごとの講習時間の目安です。
ドローンスクールでの受講時間の目安
初学者 | 経験者 | |
---|---|---|
一等無人航空機操縦士 |
実技50時間、
学科18時間以上
|
実技10時間、
学科9時間以上
|
二等無人航空機操縦士 |
実技10時間、
学科10時間以上
|
実技2時間、
学科4時間以上
|
初学者が一等資格を取得する場合、学科講習は最低18時間以上受講する必要があります。
すべての講習を修了した後、スクールで実地修了審査、試験会場で学科試験を受験する流れとなります。
このように、一等資格の取得には長時間の講習が必要であり、費用も高額になる傾向があります。また、内容も難易度が高いため、一等資格が必要な特別な業務に従事する方や、この資格が必須となる方以外には、取得の必要性は低いかもしれません。
なお、「経験者」として受講できるかどうかは、民間資格の有無やこれまでの実績によって判断されます(各スクールによって規定が設けられています)。
例えば、ドローンスクールを卒業している方や独自にドローンを操縦していた方も経験者として認められる場合があります。
ただし、経験者向けの実技講習時間は以下の通り非常に短いです。
この限られた時間内で実地修了審査の内容を把握し、確認項目を覚える必要があるため、ドローン操縦の技術力が求められます。特に一等資格を目指す場合は、より高度なスキルが必要となるため、事前にしっかりと準備をしておくことが重要です。
学科試験は、指定試験機関に申し込んで受験します。試験会場は全国各地に多数設けられているため、ご自宅に近い会場を選ぶことが可能です。試験はCBT(Computer Based Testing)方式で実施され、コンピュータを使用したオンラインシステムで受験する形となります。
試験実施会場の詳細はこちら:https://www.prometric-jp.com/examinee/hall/
学科試験の概要は以下のとおりです。
学科試験の概要
受験料 | 設問数 | 試験時間 | |
---|---|---|---|
一等無人航空機操縦士 | 9900円 | 70問 | 75分 |
二等無人航空機操縦士 | 8800円 | 50問 | 30分 |
学科試験は3択問題になっていて、上記の概要の通り、考える時間が非常に短い上に、見直しの時間もほとんど取れないため、難易度が高いと感じる方も多いでしょう。特に二等無人航空機操縦士資格の学科試験は1問あたり1分以下で設問に回答する必要があります。そのため、学科試験に向けては事前の十分な準備が重要です。登録講習機関で提供される学科テキストや教則を活用し、しっかりと勉強しておくことをおすすめします。
これまでドローンの国家資格の試験を紹介しましたが、次は資格取得手続きの流れのまとめご紹介します。
まず、国家資格を受講するためには、DIPS2.0システム内で「技能証明申請者番号」の取得申請を行い、番号を取得する必要があります。すでに機体登録などでDIPS2.0を利用している方は、以前のログインIDとパスワードを使用してログインし、技能証明申請者番号の取得申請を行ってください。一方、DIPS2.0のアカウントを持っていない方は、新規登録を行った後に取得申請を進めてください。
技能証明申請者番号は、指定機関での実技一発試験、登録講習機関での受講、指定試験機関での学科試験など、試験システムからの申込みに必要です。また、DIPS2.0で登録情報を照合する際にも必要となるため、必ず取得しておくようにしてください。
さらに、身体検査についても注意が必要です。運転免許証を所持している方は、運転免許証が身体検査の証明として認められます。しかし、運転免許証を持っていない方は、事前に医療機関で診断書を取得するか、試験機関で身体検査を受ける必要があります。これらの手続きを忘れずに行い、資格取得の準備を進めてください。
本編は国家資格の流れについてお伝えさせていただきました。楽天ドローンアカデミーでも国家資格の受講生を募集していますが、前半でもご紹介した通り、二等資格の場合も一等資格の場合も、経験者になるとかなり時間が短縮になります。
楽天ドローンアカデミーがおすすめしているのは、例えば二等資格を目指す初学者の方に対して、いきなり国家資格の初学者コースを受講するのではなく、まず経験者になるための「国家資格準備コース」を受講する方法です。その理由として、初学者コースでは実技が10時間のみとなり、確認事項や実技練習に十分な時間を確保できない場合があるためです。経験者になるための講習をしっかり受けた上で、その後に二等資格の経験者コースを受講することで、より多くの実技時間を確保し、スキルをしっかりと身につけることができます。
興味のある方は、ぜひ無料操縦体験会にお申し込みください!